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デザイン競技審査結果


2016

会 告 | 建築仕上材料・デザイン競技2016審査員会

建築仕上材料技術・デザイン競技2016審査結果について

「建築仕上材料技術・デザイン競技2016」にご応募頂き、誠にありがとうございました。
 10 月13 日・14 日に東京大学(本郷)山上会館で開催された日本建築仕上学会大会学術講演会にて、応募者のパネル展示を行い、大会参加者の投票結果を加味し、審査委員会にて選考を行った結果、入賞作品が決定いたしましたので、下記のとおりご報
告申し上げます。

 審査結果

−優秀賞− 作品No.3
 作品タイトル:未来の生活に活かす剛柔レンガ
 代表者(所属):田澤きらら(工学院大学)

−佳作− 作品No. 1
 作品タイトル:街で涼む
 代表者(所属):佐久間 亮(日本大学大学院)

−佳作− 作品No. 2
 作品タイトル:石と緑と光の公園
 代表者(所属):天田裕之(リノ・ハピア株式会社)
 制作参加者:ジェンセン・クルザット、クシ・レナード、平野圭子 

※本年度は、最優秀賞 該当者なし  以上

 2. 募集要件
  • 資格:不問(大学生,大学院生,社会人など,いずれでも応募可能)
  • 提出時期:9月26日(月)必着
  • 提出要件:A1用紙1枚(発送用紙管や図面ケースなど折れのないよう梱包)
           +記入済応募用紙を同封して提出すること.提出は発送用紙管などとし, 新しい建築空間を実現する建築仕上材料の技術やアイデア, 出来上がりの空間デザインを含む内容をわかりやすくプレゼンすること.
    提出はA1用紙1枚でよいが,入選者には後日PDFにてデータの提出を依頼する.
  • 提出先:〒108-0014 東京都港区芝5-26-20 建築会館6階
           日本建築仕上学会「建築仕上材料技術・デザイン競技係」
  • 建築設計や空間の演出のみを考慮した架空的な内容ではなく,新しく可能性のある材料や技術提案に基づいて,どのような建築空間ができるかを評価する.
  • 実現性の検証のために,実際にサンプルを作成したり,性能評価試験結果などを紙面に記載したものは,それをより高く評価する (サンプル作成環境がない者は問合せ先より紹介できる可能性がある)
  • エントリー登録;8月31日(月)締切.エントリー受付はインターネットメールでのみ行う。
  • 記載事項;代表者氏名、所属、連絡先住所、e-mailアドレス、電話番号(日中連絡がつくもの)
  • 宛先;日本建築仕上学会事務局 建築仕上材料技術・デザイン競技係 shiage@finex.jp
  • 登録は、受領返信メールで完了します。受領返信メールが届かない場合は、事務局までお問い合わせください。
 3. 選考方法・結果発表について
  • 10月13日,14日に東京大学(本郷)山上会館で開催される日本建築仕上学会大会学術講演会にて,提出者のパネル展示を行い,大会参加者の投票結果を加味して審査委員会が選考を行う.
  • 賞金(商品券) 最優秀賞 8万円×1名,優秀賞2万円×2名,佳作 図書券5,000円×最大7名とする.また,全受賞者には日本建築仕上学会会員(1年間)および賞状が与えられ,日本建築仕上学会雑誌「FINEX」に受賞者コメント,審査委員寸評とともに掲載される.
  • アイデアに関する権利や管理は本人に帰属する.本会主催者側は一切関与しない.また,すべての提出作品は返却しない.
 4. 審査委員
  • 審査委員長:本橋 健司(芝浦工業大学)

    • 日本建築仕上学会に属する施工・材料に関する諸団体からの審査委員(複数)
    • 橘高 義典(首都大学東京 教授)
    • 小山 明男(明治大学 教授)
    • 田村 雅紀(工学院大学 准教授)
    • 永井 香織(日本大学 准教授)
    • 北垣 亮馬(東京大学 講師)
 →要項pdf →応募用紙DL

 建築仕上材料技術・デザイン競技2016「新しい煉瓦・石空間」講評
2016 年12 月  審査委員長 本橋健司
1.本競技について

 建築空間の表面にあり、建築物の耐久性や意匠性を大きく左右する建築仕上材料は、これまでも様々なニーズに応じて革新的な進歩をとげてきた。本競技は、今後の建築空間の発展と進化を見据え、より革新的で技術的にも意匠的にも興味深い建築仕上材料のデザイン・技術を提案する作品を広く募集し、建築仕上材料の新しい価値を切り開く可能性を評価する競技である。
 なお本競技は、次世代活性化の目的で日本建築仕上学会基金の支援を得て行われている。本競技は今年が第5回である。本年度も応募作品が少なかったので、「建築仕上材料技術・デザイン競技」は今回で終了予定である。

2.講評

 今回の応募作品数は6 作品であった。応募者は建築学科の学生およびベテランであった。作品は、@煉瓦や石の冷たいイメージ、硬いイメージを変えようとするもの、A煉瓦や石による水分の蒸散作用等を利用するもの、B石の臭気吸着作用を炉要するもの、Cガラスとの石を一体化させた材料を利用するもの等が提案された。
 しかし、現状の分析、アイデア、デザイン、技術(特に、取付け、納まり、メンテナンスの技術)まで包括的に検討し、実現させたいと感じさせる最優秀賞は残念ながら認められなかった。
 優秀賞の「未来の生活に生かす剛柔レンガ」(田澤きらら)は、2 種類のレンガを破砕し、アクリル変成シリコーン樹脂と混合することにより、配合条件の異なるレンガ(剛柔レンガ)を作成し、その密度、強度、柔軟さ等を評価している。これらの特性を踏まえた上で、内壁、ガーデニング、階段等への利用を提案している。剛柔レンガの物性評価は基礎的なものではあるが、実際に、アイデアに基づく材料を作成し、物性評価を行った上での技術提案という点は技術・デザインコンペとして高く評価されるべきと考える。このような理由からか、審査員の得票数が最も高かった。
 佳作の「町で涼む」(佐久間 亮)は単に石の水分蒸散作用を応用するというアイデアはだけでなく、壁面緑化、雨水の浄化等も目的としている。材料として、ゼオライト、麦飯石、抗火石を特定し、その特性を生かした提案を行っている。この提案がどの程度の実現性、合理性を有するかは不明であるが、いろいろ考えたアイデアであるということは理解できる。
 もう一つの佳作「石と緑と光の公園」(代表者:天田裕之)は、硬い、冷たいというイメージのある石材をボラード、東屋、歩道、噴水、案内板、ベンチ等に利用して、それらの石材を変化させることを意図している。設計では蓄光タイプの石材、透明性のある石材、光透過性のある石材等が使用されているが、これらの石材に関する技術的内容が全く説明されていない点が不満である。
ただし、意匠デザインは魅力的であり、一般投票者の得票数は最多であった。

以上


 受賞者コメント
◇優秀賞 

作品No.3
作品タイトル:未来の生活に活かす剛柔レンガ <→作品を見る

田澤きらら氏 コメント
 この度は、建築仕上材料・デザイン競技2016にて優秀賞を戴き、誠にありがとうございます。煉瓦は美匠に優れており、煉瓦=硬いという概念を払拭し、柔らかい煉瓦を作る事によって暖かみのある家具、又安全性のある壁面や床が作製できるのではないかと思いました。研究に当り、ご教授戴きました鈴木敏彦教授、田村雅紀 教授、阿部道彦教授、本当にありがとうございました。


  FINEX 2017.01-02


2015

会 告 | 建築仕上材料・デザイン競技2015審査員会

建築仕上材料技術・デザイン競技2015審査結果について

 「建築仕上材料技術・デザイン競技2015」にご応募頂き、誠にありがとうございました。
 10 月22 日・23 日に東京大学(本郷)山上会館で開催された日本建築仕上学会大会学術講演会にて、応募者のパネル展示を行い、大会参加者の投票結果を加味し、審査委員会にて選考を行った結果、入賞作品が決定いたしましたので、下記のとおりご報告申し上げます。

 審査結果

−優秀賞− 作品No.2
  作品タイトル:浮き出る警告板
 代表者(所属):今 夏紀(日本大学)

−佳作− 作品No.4
 作品タイトル:新しいコミュニティースペースの提案
 代表者(所属):天田裕之(リノ・ハピア株式会社)
 制作参加者:ジェンセン・クルザット、クシ・レナード、平野圭子

※本年度は、最優秀賞 該当者なし  以上

 2. 募集要件
  • 資格:不問(大学生,大学院生,社会人など,いずれでも応募可能)
  • 提出時期:9月28日(月)必着
  • 提出要件:A1用紙1枚(発送用紙管や図面ケースなど折れのないよう梱包) +記入済応募用紙を同封して提出すること.提出は発送用紙管などとし, 新しい建築空間を実現する建築仕上材料の技術やアイデア, 出来上がりの空間デザインを含む内容をわかりやすくプレゼンすること. 提出はA1用紙1枚でよいが,入選者には後日PDFにてデータの提出を依頼する.
  • 提出先:〒108-0014 東京都港区芝5-26-20 建築会館6階 日本建築仕上学会「建築仕上材料技術・デザイン競技係」
  • 建築設計や空間の演出のみを考慮した架空的な内容ではなく,新しく可能性のある材料や技術提案に基づいて,どのような建築空間ができるかを評価する.
  • 実現性の検証のために,実際にサンプルを作成したり,性能評価試験結果などを紙面に記載したものは,それをより高く評価する (サンプル作成環境がない者は問合せ先より紹介できる可能性がある)
  • エントリー登録;8月31日(月)締切.エントリー受付はインターネットメールでのみ行う。
    記載事項;代表者氏名、所属、連絡先住所、e-mailアドレス、電話番号
    宛先;日本建築仕上学会事務局 建築仕上材料技術・デザイン競技係
    shiage@finex.org
    登録は、受領返信メールで完了します。
    受領返信メールが届かない場合は、事務局までお問い合わせください。
 3. 選考方法・結果発表について
  • 10月22日,23日に東京大学(本郷)山上会館で開催される日本建築仕上学会大会学術講演会にて,提出者のパネル展示を行い,大会参加者の投票結果を加味して審査委員会が選考を行う.
  • 賞金(商品券) 最優秀賞 8万円×1名,優秀賞2万円×2名,佳作 図書券5,000円×最大7名とする.また,全受賞者には日本建築仕上学会会員(1年間)および賞状が与えられ,日本建築仕上学会雑誌「FINEX」に受賞者コメント,審査委員寸評とともに掲載される.
  • アイデアに関する権利や管理は本人に帰属する.本会主催者側は一切関与しない.また,すべての提出作品は返却しない.
 4. 審査委員
  • 審査委員長:本橋 健司(芝浦工業大学)
  • 日本建築仕上学会に属する施工・材料に関する諸団体からの審査委員(複数)
  • 橘高 義典(首都大学東京 教授)
  • 小山 明男(明治大学 教授)
  • 田村 雅紀(工学院大学 准教授)
  • 永井 香織(日本大学 准教授)
  • 北垣 亮馬(東京大学 講師)
 

 建築仕上材料技術・デザイン競技2015「新しい木材空間」講評
2015 年12 月  審査委員長 本橋健司
1.本競技について

 建築空間の表面にあり、建築物の耐久性や意匠性を大きく左右する建築仕上材料は、これまでも様々なニーズに応じて革新的な進歩をとげてきた。本競技は、今後の建築空間の発展と進化を見据え、より革新的で技術的にも意匠的にも興味深い建築仕上材料のデザイン・技術を提案する作品を広く募集し、建築仕上材料の新しい価値を切り開く可能性を評価する競技である。
 なお本競技は、次世代活性化の目的で日本建築仕上学会基金の支援を得て行われている。本競技は今年が第三回であり、来年度の継続を考えている。本年度は広報不足のため応募作品が少なかったが、次年度は多くの応募を期待したい。

2.講評

 今回の応募作品数は5 作品であった。応募者は建築学科の学生及びベテランであった。いずれも作品も、ガラスの光透過性を上手に活用する事を考えているが、ガラスの用途は空間構成材料、警告版、斜光壁、シアタールーム、外壁材、間仕切材等多様であった。
 しかし、現状の分析、アイデア、デザイン、技術(特に、取付け、納まり、メンテナンスの技術)まで包括的に検討し、実現させたいと感じさせる最優秀賞は残念ながらなかった。来年に期待したい。
 優秀賞の「浮き出る警告板」(今 夏妃)は、駅や地下街等を想定し、地震時や火災時の混乱を防ぐため、災害時にガラスから避難の指示・情報が浮き出る仕組みを提案している。ガラスを地震時や火災時の警告板に利用するというのは、技術的には非常にチャレンジングなことであると感じる。蛍光インクにブラックライトを照射する表示方法、圧電素子を応用した発電床による電力供給、ガラス取付け部分の詳細、表示システムが稼働するトリガーのメカニズム(地震時にはP 波・S 波の感知により、火災時には煙センサーにより起動するとしている。)等の要素技術に言及している。これらの要素技術を組み合わせて、実際のシス
テムを実現するためには、多くの技術的課題が指摘できる。しかし、多くのアイデアを組み合わせて、実現したいシステムを提案している点を評価したい。応募作品の中では、最も多くの技術的側面からシステムの実現性を検討していた。
 佳作の「新しいコミュニティースペースの提案」(天田裕之 他)では、ケアハウスのコミュニティースペースにガラスをスクリーンとして利用した体感型のシアタールームを設置することを提案している。限られたスペース内で、光とガラスで無限の空間を表現することにより、閉鎖的になりがちな場所を人々が集い、癒しと希望を抱ける場所にすることを意図している。作品の意図は明確であり、魅力的である。しかし、シアタールームの内容、構成に関する技術的な説明がほとんどなされていない点に不満がみられる。吹抜けにどのような構法・材料を使ってスクリーンを構成するのか、そのスクリーン上にどのような仕掛けで3D画像を投射するのかという説明がほしかった。

以上


 受賞者コメント
◇優秀賞 

作品No.2
作品タイトル: 浮き出る警告板 <→作品を見る

今夏紀 氏 コメント
 この度は建築仕上材料技術・デザイン競技2015にて優秀賞を頂き、誠にありがとうございます。今回提案したガラスは、普段は、透明なガラスであるが、災害時に避難経路を誘導する案内板が浮き出てくるガラスである。意匠を乱さず、非常時のみに浮き出るため、大き
く案内板を表示することもできる。オフィスビル、店舗、駅、美術館などあらゆる公共の場で使用することのできる材料です。


  FINEX 2016.01-02


2014

会 告 | 建築仕上材料・デザイン競技2014審査員会

建築仕上材料技術・デザイン競技2014審査結果について

「建築仕上材料技術・デザイン競技2014」にご応募頂き、誠にありがとうございました。 10月16日・17日に東京大学(本郷)山上会館で開催された日本建築仕上学会大会学術講演会にて、応募者のパネル展示を行い、大会参加者の投票結果を加味し、審査委員会にて選考を行った結果、入賞作品が決定いたしましたので、下記のとおりご報告申し上げます。

2014年12月 建築仕上材料・デザイン競技2014審査員会

 審査結果

−優秀賞− 作品No.1
  作品タイトル 守るべき伝統 〜こけら葺き屋根の価値〜
  代表者(所属) 柴田 圭(工学院大学)
  制作参加者        石橋 朗

−優秀賞− 作品No.2
  作品タイトル 斜めログ
  代表者(所属) 戸田 潤也(近畿大学)

−佳作− 作品No.4
  作品タイトル かんな屑のエコ障子
  代表者(所属) 中島 裕次(慶應義塾大学大学院)
  制作参加者   関 新之介

−佳作− 作品No.5
  作品タイトル 国産材の有効活用
  代表者(所属) 今 夏紀(日本大学)

−佳作− 作品No.3
  作品タイトル 背割り部への樹脂注入による柱・梁の性能向上
  代表者(所属)  刈田 祥彦(首都大学東京大学院)
  制作参加者       小安 健太、池戸 歩弥

※本年度は、最優秀賞 該当者なし  以上

 2. 募集要件
  • 資格:不問(大学生、大学院生、社会人など、いずれでも応募可能)
  • エントリー登録(応募用紙の提出)
    2014年 9月30日(火)締切。エントリー受付はインターネットメールでのみ行う。
    記載事項;代表者氏名、所属、連絡先住所、e-mailアドレス、電話番号
    (名前や連絡先のみのエントリでも可)
    宛先;日本建築仕上学会事務局 建築仕上材料技術・デザイン競技係 
    E-mail:shiage@finex.jp
  • 登録は、受領返信メールで完了します。
    受領返信メールが届かない場合は、事務局までお問い合わせください。
      日本建築仕上学会 事務局 電話:03-3798-4921
  • 作品提出時期:2014年10月6日(月)必着
  • 作品提出要件:A1用紙1枚(発送用紙管や図面ケースなど折れのないよう梱包)
  •  +記入済応募用紙を同封して提出すること。提出は発送用紙管などとし、 新しい建築空間を実現する建築仕上材料の技術やアイデア、 出来上がりの空間デザインを含む内容をわかりやすくプレゼンすること。 提出はA1用紙1枚でよいが、入選者には後日PDFにてデータの提出を依頼する。
  • 建築設計や空間の演出のみを考慮した架空的な内容ではなく、新しく可能性のある材料や技術提案に基づいて、どのような建築空間ができるかを評価する。
  • 実現性の検証のために、実際にサンプルを作成したり、性能評価試験結果などを紙面に記載したものは、それをより高く評価する (サンプル作成環境がない者は問合せ先より紹介できる可能性がある)
  • 作品提出先:〒108-0014 東京都港区芝5-26-20 建築会館6階
      日本建築仕上学会「建築仕上材料技術・デザイン競技係」
      電話:03-3798-4921
 3. 選考方法・結果発表について
  • 2014年10月16日、17日に東京大学(本郷)山上会館で開催される日本建築仕上学会大会学術講演会にて、提出者のパネル展示を行い、大会参加者の投票結果を加味して審査委員会が選考を行う。
  • 賞金 最優秀賞 8万円×1名、優秀賞2万円×2名、佳作 図書券5、000円×最大7名とする。また、全受賞者には日本建築仕上学会会員資格(1年間)および賞状が与えられ、日本建築仕上学会雑誌「FINEX」に受賞者コメント、審査委員寸評とともに掲載される。
  • アイデアに関する権利や管理は本人に帰属する。本会主催者側は一切関与しない。 また、すべての提出作品は返却しない。
 4. 審査委員
  • 審査委員長:安達 和男(Adachi Archi Associate 代表)
  • 日本建築仕上学会に属する施工・材料に関する諸団体からの審査委員(複数)
  • 橘高義典(首都大学東京 教授)
  • 小山明男(明治大学 教授)
  • 田村雅紀(工学院大学 准教授)
  • 永井香織(日本大学 准教授)
  • 北垣亮馬(東京大学 講師)
 

 建築仕上材料技術・デザイン競技2014「新しい木材空間」講評
2014 年12 月 審査委員長 安達和男
1.本競技について

建築空間の表面にあり、建築物の耐久性や意匠性を大きく左右する建築仕上材料は、これまでも様々なニーズに応じて革新的な進歩をとげてきた。本競技は、今後の建築空間の発展と進化を見据え、より革新的で技術的にも意匠的にも興味深い建築仕上材料のデザイン・技術を提案する作品を広く募集し、建築仕上材料の新しい価値を切り開く可能性を評価する競技である。なお本競技は、次世代活性化の目的で日本建築仕上学会基金の支援を得て行われた。本競技は今年が第二回であり、今後も継続を考えている。より多くの応募を期待したい。

2.講評

 今回の応募作品数は、広報不足から5作品にとどまった。応募者は建築学科の学生及びベテランであった。内容は、伝統工法の見直しから新しいデザイン提案まで幅広かった。しかし、現状分析、アイデア、デザイン、技術まで包括的に提案し、ぜひ実現させたいと感じさせる最優秀賞と評価できる案は、残念ながらなかった。来年に期待したい。

 優秀賞の「守るべき伝統〜こけら葺き屋根の価値〜」(柴田圭、他)は、こけら葺きの調査及び材質を替えた実験を基に、こけら葺きの現状を分析した。そして、職人の減少や、使用環境の悪化、天然資源の減少、多額の費用がかかるなどの問題点を整理した。また、耐久性に直結する劣化事象、劣化要因を化学的と物理的の両面から検証し、適切な素材と塗装により現代建築にも利用の可能性があるとしている。調査から提案までの道筋は明確であり、説得力がある。実際、こけら葺きの現代建築の実現に期待したい。

 優秀賞の「斜めログ」(戸田潤也)は、丸太材をずらしながら積層することで、これまでの木造空間になかった斜めの方向を導入し、新しい性能を付与することを提案している。応募案に示された空間には、壁とも屋根ともいえない斜め状のログ組みがある。縄文的な力強さを感じさせる。内部空間は包まれている感じが強くあり、落ち着ける場所となるだろう。ベテランらしいプレゼンテイション手法も説得力があった。願わくは、斜め方向による「新しい性能」について、もう少し詳しく説明してほしかった。

 佳作の「背割り部への樹脂注入による柱・梁の性能向上」(刈田祥彦、他)は、背割りに着目し、そこへ樹脂を充てんすることで、新たな性能を提案している。充填した樹脂を意匠的スリットとして見せる、樹脂から芳香を出す、防虫効果を出す、耐火性能を付加する、等である。独自の面白い着目点であり、実際にサンプルをつくり、検証することを期待したい。

 佳作の「かんな屑のエコ障子」(中島裕次、他)は、かんな屑も職人の技術がこもった立派な材料であることを、再認識してほしいという提案である。かんな屑で障子を貼ることで、透光性があり且つ断熱性もある障子をつくる。かんな屑からの香りによるリラクゼイションも期待している。これもユニークの提案であるが、かんな屑に水を吹けば、障子紙のようにピンと貼れるのか、実験してほしかった。 佳作の「国産材の有効活用」(今 真紀)は、駅で国産材、木レンガの床材を使用することで、歩き心地や香りも含め、国産材をもっと意識してほしいという提案である。これは実現性の高い提案である。さらに、日常のメンテナンス方法や、年月を経て貼り替えをするのか、表面を削るのか等も考えてみてほしい。 以上

以上


 受賞者コメント
◇優秀賞 

作品No.1
作品タイトル: 守るべき伝統 〜こけら葺き屋根の価値〜 <→作品を見る

柴田 圭 氏 コメント
 このたびは建築仕上材料技術・デザイン競技2014にて優秀賞を頂き、誠にありがとうございます。現在、こけら葺き屋根は、職人不足や天然木材の減少、耐久性といった様々な問題を抱えています。しかし、「文化財としての価値」、「観光資源としての価値」は大いにあると思います。こけら葺き屋根は、改質処理を施すことにより、伝統的な木造建築にある良さを活かしたまま、葺き替えサイクルの長期化、デザイン性の向上といった新たな可能性があると考えます。今後ともこけら葺き屋根の研究活動において、新たなこけら葺き屋根の可能性を提案していきたいと思います。


◇優秀賞 

作品No.2
作品タイトル: 斜めログ <→作品を見る

戸田潤也 氏 コメント
 木造空間の新しい可能性を考えていました。ログ材をずらしながら積層させることで、これまでになかった斜めの方向の連続性や開放性を導入することができるのではないかと思いデザインしました。今回は原理的な提案に留まりましたが、これから実用の可能性や、単位空間を連結させることで大きな建築をつくることなども考えていきたいと思っています。


  FINEX 2015.01-02


2013

会 告 | 建築仕上材料・デザイン競技2013審査員会

建築仕上材料技術・デザイン競技2013
新しい建築空間を実現する建築仕上材料とその技術提案
“新しいタイル空間” 結果

 第2回目となる「建築仕上材料技術・デザイン競技2013」はテーマを「新しい建築空間を実現する建築仕上材料とその技術提案“新しいタイル空間”」として開催されました。
  本デザイン競技は本年5月に募集開始、10月11日に締切りの後、大会学術講演会の2013年10月17日、18日に同会場で作品のパネル展示を行い一般からの投票を受け付けました。その大会参加者による投票を加味した審査委員会を10月21日に開催し、討議、審査の結果各賞が決定いたしましたので発表致します。

2013年11月 建築仕上材料・デザイン競技2013審査員会

 1. 募集要件

・提出時期:10 月11 日(金)必着
・提出要件:A1 用紙1 枚+記入済応募用紙を同封して提出し、新しい建築空間を実現する建築仕上材料の技術やアイデア、出来上がりの空間デザインを含む内容をわかりやすくプレゼンする。
・提出はA1用紙1枚でよいが、入選者には後日PDF にてデータの提出を依頼する。
・賞金(商品券)最優秀賞 8万円×1 名、優秀賞2 万円×2 名、佳作 図書券5,000 円×最大7 名とする。また、全受賞者には日本建築仕上学会会員(1 年間)および賞状が与えられ、日本建築仕上学会雑誌「FINEX」に受賞者コメント、審査委員寸評とともに掲載される。
・アイデアに関する権利や管理は本人に帰属する。本会主催者側は一切関与しない。すべての提出作品は返却しない。

 2. 審査委員

審査委員長:安達 和男(Adachi Archi Associate 代表)
橘高義典(首都大学東京教授)、小山明男(明治大学教授)、
田村雅紀(工学院大学准教授)、永井香織(日本大学准教授)、
北垣亮馬(東京大学講師)、栗秋祐次(LIXIL)、
八田泰志(セメダイン)、難波三男(ニチハ)

 3. 応募結果及び審査結果

・応募数:7 作品
・審査方法:10 月17 日、18 日に東京大学(本郷)山上会館で開催された日本建築仕上学会大会学術講演会にて、提出者のパネル展示を行い、大会参加者の投票結果を加味して10 月21 日開催の審査委員会で選考を行った。
・審査委員会による審査の結果、一般投票と審査委員投票を加味し討議、審査した結果、最優秀賞、優秀賞を選出し、その他応募2作品を佳作とした。
・審査結果

審査結果 No 作品タイトル 作品DL ○代表者、制作参加者
最優秀賞 3 シラスの自然人造石 →DL pdf ○鈴木亜生、上中誠
優秀賞 2
集露塔 シュフロトフ →DL pdf ○栗原拓央、大岩恵、秋澤智子
優秀賞 4 技能の賦活・誇りのある仕事 →DL pdf ○小野幸彌、大岩優美
佳作 5 汚れに着目した動物タイル
(アニマルタイル)
→DL jpg ○山本拓弥、小安健太
佳作 6 ヒカルタイル →DL jpg ○荒木優也、小玉たかふみ
 

 建築仕上材料技術・デザイン競技2013「新しいタイル空間」講評
2013 年10 月 審査委員長 安達和男
1.本競技について

 建築空間の表面にあり、建築物の耐久性や意匠性を大きく左右する建築仕上材料は、これまでも様々なニーズに応じて革新的な進歩をとげてきた。本競技は、今後の建築空間の発展と進化を見据え、より革新的で技術的にも意匠的にも興味深い建築仕上材料のデザイン・技術を提案する作品を広く募集し、建築仕上材料の新しい価値を切り開く可能性を評価する競技である。なお本競技は、次世代活性化の目的で日本建築仕上学会基金の支援を得て行われた。本競技は今後数年の継続を考えており、より多くの応募を期待したい。

2.講評

 今回はテーマを設定した競技の初年度であり、応募作品数は7 作品にとどまった。しかし応募者は実務者から学生まで、応募内容は実際に建てられた建物からアイデア提案までと広い幅をもち、興味深い作品が寄せられた。
 最優秀賞の「シラスの自然人造石」(鈴木亜生、他)は、鹿児島の地域性に根差した地下資源のシラスにより形成されたシラスブロック・タイルの建築実作である。地球環境配慮の地産地消を踏まえ、室内環境にも配慮した材料開発と意匠デザインが良く調和し、本競技の主旨に優れて合致している。シラスタイルは比較的、吸収性が高い。これが室内の湿度調節に有効な一方、外壁では汚れを吸着する可能性がある。その汚れがエイジングとして建物に風格をもたらすのかどうか、今後の経年変化に注目したい。

 優秀賞の「集露塔 シュフロトフ」(栗原拓央、他)はアフリカの砂漠地帯において、新たな開発タイルで造られた集露塔が朝露を集め、貯水した地下から灌水し緑化を行う提案である。地球環境を配慮したユニークかつ詩的な提案が、精緻なプレゼンテーションで魅力を放っている。タイルで集めた朝露を毛細管現象で塔の内部に集めるという仕組みが、タイル自身の持つ吸水性とどう両立するかが、この提案の鍵である。この点の今後の研究開発に期待したい。
 優秀賞の「技能の賦活・誇りある仕事」(小野幸彌、他)は湿式工法を支える左官技術者に関する問題に注目し、調査、分析、提案を行った地道な作品である。デザインだけでなく材料技術への提案を求めた本競技の主旨によく合致する。今後、提案内容の深化に期待したい。
 佳作の「汚れに着目した動物タイル(アニマルタイル)」(山本拓弥、他)は、汚れの拡散を狙った新たなパターンの提案である。使用例を動物園で上げているが、動物がアニマル柄に困惑する恐れがあるので、むしろ商業ビルにふさわしいと思える。佳作の「ヒカルタイル」(荒木優也、他)は、実現性の高い提案である。LED の電源として、太陽光などの自然エネルギーなどとの組合せに期待したい。
選外となった「ぬくもり」(鈴木春菜、他)は温かいタイルの提案である。「紙タイル」(清水将通)は、紙で作るタイルという提案である。両者ともタイルの既成概念にとらわれない独自性があり、今後も興味を持続し実現につなげてほしい提案である。

以上


 受賞者コメント
◇最優秀賞 シラスの自然人造石

・代表者 鈴木亜生(ARAY Architecture)
 この度は、最優秀賞を賜り、大変光栄に感じております。この場をお借りして、選考委員会の皆様、本プロジェクトに携わった皆様に御礼申し上げます。
今回、開発したシラスブロック・タイルは、個人住宅に限らず、広く公共に貢献できる材料です。今回の受賞を励みに、引き続きブロックの開発・構法を研究し、新しい空間づくりに取り組んでいきたいと考えています。
 今後とも,皆様のご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。


◇優秀賞 集露塔 シュフロトフ

・代表者 栗原拓央(東鉄工業(株)建築本部建築設計エンジニアリング部)
 本デザイン競技におきまして優秀賞をいただき大変光栄に思います。この作品は現在進行中である地球規模での砂漠化に対して、新しく開発するタイルを用いた環境浄化装置としての『砂漠緑化・集露灌水システム』の提案です。タイルというありふれた材料に新しい機能を付与し、地球環境を緑に戻す役割を持たせました。この集露塔群が最後には役割を終え、たくさんの緑に囲まれ埋没してしまうような風景を想像していただければ幸いです。
 本提案の実現に向けて協力頂ける企業、研究者の方がいらっしゃいましたら是非とも御一報お願いいたします。


◇優秀賞 技能の賦活・誇りのある仕事

・代表者 小野幸彌(工学院大学)
 このたびは建築仕上材料技術・デザイン競技2013 にて優秀賞を頂き、誠にありがとうございます。今日では建築に際して意匠の要求事項が高くなっており、建築コスト、工事期間など様々な制約を大きく受けているように感じます。タイルは施工時に熟練のマイスター(職人)を必要とする為、施工難度は高いですが、風合いや物心両面の心など様々なものをもたらしてくれると思います。今後ともタイル施工等における研究活動において新たなタイルの可能性を提案していけたらと思います。


→pdf版資料DL  FINEX 2013.11-12


2012
 ※結果は、2012 FINEX 9-10月号(vol.24,No144)に掲載されました。